ヘルスリテラシーとは、健康や医療に関する情報に触れて真偽を理解し、評価及び活用するための能力を指す言葉です。健康や医療に関する判断や意思を決定し、生涯を通じて健康面を維持するために必須な能力といえます。ヘルスリテラシーという言葉は、1970年代頃から使われるようになり、1990年代以降から具体的な定義がなされるようになりました。
日本人は諸外国の人と比較して、ヘルスリテラシーが低いと言われています。実際、「面倒くさい」「病気が見つかると怖い」といった理由で健康診断を受けなかったり、異常が見つかっても精密検査を受けずにそのままにしておくような人が多い現状があります。その他、生活習慣病を指摘されても自覚症状がないため、治療をせずに放置して、最終的に病気になってしまって後悔するような人も少なくありません。
ヘルスリテラシーの向上や維持に大切なことは、科学的な根拠に基づいた情報の収集能力を身につけることです。特に患者さんの中にはヘルスリテラシーに関心の低い人や、インターネットで出回っている疑似科学を信じ、正しい情報を陰謀論と考えてしまう人も少なくありません。
日本の人々のヘルスリテラシーを向上し、維持させるためには、医療スタッフが患者さんと積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。定期的にコミュニケーションをとることで、医療スタッフの科学的根拠に基づいた情報を収集する機会が増えれば、健康の問題を身近に感じてくれるものです。そうなれば、健康診断を受診することや病気にならないための規則正しい生活、さらに病気に対する早急な治療の行動を取りやすくなるでしょう。